07/12/21 00:19
「プログラマー現役続行」

技評SE新書のこの本。タイトルを見ただけで、ぐっと惹かれました。いつも仕事上で感じることが書かれていてとても共感しました。
「まえがき」なんかは、正にそのとおりと何度もうなづきながら読んでしましました。
筆者ほどの経験、スキルはありませんが、私もプログラムを始めて二十数年を数えます。本文でもありますが、当時よく言われた「プログラマ35歳定年説」というのは、今の時代でもこれを引きずっているとつくづく感じます。この言葉のインパクトは相当あったのでしょう。私自身も、いづれはプログラマを「卒業」して、SEそして管理職にならなくてはならないと信じていました。しかしこれはインターネットが普及する前の話で、現在は当時とは開発する案件の種類がかなり違うため、この法則が当てはまらないと思います。特にのこの業種は、インターネット以前、以後では、違う業種といえる部分もあるのではないでしょうか。インターネット以後でもブロードバンド以前、以後ではかなり性質が違ってきています。
ITという言葉もなく、コンピュータソフトウェア業界と呼ばれていたと思いますが、仕事のスタイルがパソコンの前に座って仕事をするスタイルが、見た目ずっと一緒ということで、考え方もずっと一緒でいる人が、特に40代くらいから上でこの業界をずっと歩んできた人の内に多いように感じます。筆者の言うように確かに日本では、待遇面を考えても、いつまでもプログラマをしていることは不利なことです。しかしこれだけ技術の進歩が激しい中、コードを書くことを卒業したシニアエンジニアに、その技術の評価が正しくできるのだろうか、と疑問に思うことがよくあります。まあ私も十分ではありませんが、コーダー(好きな響き^^)でないと、理解できない技術のディティールはあると思います。コーダーはそのプログラム言語(またその技術)の設計思想に美しさを感じたり、その本質、使い方をよく理解できます。またそれにより仕事のモチベーションも格段に上がることもよくあります。実際に、Web2.0やらマッシュアップ、AJAXなどなど、しくみはよく理解しているつもりでも、これを実際にコーディングしてると、また違った創造力がわいてきたりします。
私がフリーでプログラマになったのは、今考えればインターネットの影響かもしれません。仕事で携帯電話サイトのサービスをやるようになったとき、プログラマを「卒業」するかしないかのときでした。しかしその面白さに引き込まれ、かなりのコーディングをそのプロジェクトでやりました。JavaでやるのかPHPでやるのか、サーバー、DB、OSは何にするのか、いろいろな資料を調べてゼロからサービスを開発しました。これがきっかけで次々とネット関係のコーディングをするようになり、やりたいこともどんどん膨らんでいくばかりでした。オープンソースはそれに拍車をかけました。そのうち仕事で与えられている範囲だけでは満足できなくなり、一つのプロジェクトで長期間拘束されることが、新しいスキルを学ぶ機会を失うと強く感じるようになり、会社の外に活躍の場所を求めるようになってしまいました。好きな会社だったのですが、ネットの進化の速さが、自分の気持ちをあせらせたのは間違いありません。(最近はさらに加速しているのを肌で感じます。)
この本のほとんどは、プログラマを続けていくのに、必要なことが書かれていますが、これはプログラマに限らずどの職業でも言えることなのではないかと思えるものでした。プログラマの地位が低いなぁ、と感じることがよくある中、このような本の考え方が認知されていくことはとても心強く感じます。
現在働いている会社に若い優秀なプログラマが何人かいるのですが、私がその年だったら彼らのようにはできなかったかもしれない、と思うときがありました。しかし年齢の分だけ必然的にキャリアがあるため、彼らが経験していないことを自分は経験していることで役にたつこともあると、同時に思いました。何が言いたいかというと、新しいことを勉強し続けていれば、彼らよりいつもキャリアがある状態が続くわけで、つまり長くやることは、それだけ意味があることであり、重要だということになります。それだけ習得にも時間必要であり、学ぶ範囲も広いと思います。本文でも35年定年では、これからというときに、引退することになり優秀なプログラマが育ちにくくなると指摘しています。
35年定年説には、体力的な意味合いものもあったのかもしれません。残業の多いハードなプログラムの仕事は、若いうちにしかできないよ、という意味も含まれているのかもしれません。肉体労働的な意味あいなら、それも言えるかもしれませんか、本文にもあるように、できるプログラマとそうでないプログラマとでは、開発効率にして10倍以上違うことがあるということを考えると、効率の面では、40,50代の方が優位にあると信じたいところです。実際にわけのわからいトラブルに対する、問題解決能力というのは、キャリアがものをいいます。過去にいろんなパターンの問題を知っているからこそ、いろんな角度から解決を試みることができます。求人の条件として35歳までというのをたまに聞くことがあります。プログラマとしての実力よりも年齢が先にありきですから、本当に残念な気持ちになります。35年定年説が生き続けている証拠なのでしょうか。
なんかいつになく力が入ってしまいましたが、プログラマの地位が向上するように、またそのようなキャリアをあてにされように、これからも勉強していきたいと思います。