08/07/13 19:18
iPhone発売

といっても買ったわけではありませんが、一つの大きなできごとのような気がして記事を書いてみました。
今から5年くらい前、携帯コンテンツの開発をしていたことがありますが、そのときからすると今のiPhoneをとりまく状況は、何から何まで特例ばかりに感じてしまいます。それだけ衝撃が大きいです。携帯キャリアの力は強く、携帯コンテンツに関してでも公式メニューに入れてもらうだけでもいろいろと苦労した覚えがあります。Appleはハードもソフトも独自路線を認めさせ、通信料の一部も利益とするなど、今までの日本の携帯電話市場の常識では考えられないことをやってのけてしまっています。市場原理がこのようなことを引き起こしたわけですが、Appleブランドのすごさを認めざるをえません。このような端末主導のビジネスモデルに変化していくのでしょうか。キャリアは回線だけを提供することになるのでしょうか。携帯は全てパソコン化するのでしょうか。携帯コンテンツで儲けるモデルは手放したくないところでしょうが。。
このような状況は、昔のパソコン市場に似ているような気がします。日本でNEC,SHAP,FUJITSUなど世界標準のIBM-PCと互換性のない独自のOSのパソコンを販売していた元気な時代を思い出します。ソフトもそれぞれのハードにあわせて開発し、それなりの商売ができていたのではないでしょうか。それがハードの性能が上がるにつれ、WindowsのようなGUIの時代になり、OSメーカーが力を持つようになってからは、全てのパソコンがWindowsに対応することになりました。今の携帯電話も性能が上がるにつれ、OSが共通化されたりして、パソコン化がより一層進むことになるでしょう。時代の流れとばそれまでですが、このあたり日本のソフトウェアエンジニアリングにある特徴かあるような気がします。ハード(制約)の中に高機能なソフトウェアをひたむきに埋め込むことは得意そうですが、ソフトウェアの標準化といった思想が弱いのか、またハードの方がソフトよりも上位にあるという考え方も感じるときがあります。
ゲームソフトの開発もしていたことがありますが、そのときも同様なことを感じたことがあります。最初にスーパーファミコンの開発を携わったとき、こんなスペックでよくこんなクォリティの高いものができるなぁと正直驚きました。ハードの限界を引き出すコーディングする感覚です。日本がゲームソフトで世界をリードしたのも、この日本人の特性があるように思います。しかしだんだんハードウェアの性能が上がってくると、海外のメーカーが元気がよくなってきました。PlayStation2,NINTENDO64,Dreamcastで動くソフトをコンパイルスイッチをかえるだけで開発できるミドルウェア(OS)などもありましたが、このような統合開発環境的なものってアメリカの会社とかホントに得意そうです。こういうのを使えばある程度の品質をライブラリが保証してくれます。
だからといって日本のメーカーを悲観するつもりはありません。かつてE3(ロサンゼルスで行われているエンターテイメントショウ)で、この狭い日本から、任天堂、ソニー、セガ、SNKのハードとソフトが会場を席巻していたのを見て、大変誇りに思いました。楽器や自動車、他の業界もこういった状況はあるのでしょうが、私自身が海外で実感したこととしてとても印象深い経験でした。時代は変わるので主役になるメーカーも変化するのは仕方ないことでしょう。それぞれ得意分野があるので、マネをしたり後を追う必要はないのですが、こうやっていろいろと振り返ってみるとこの先も読み易くなるのではと思っています。
iPhoneの話からだいぶ飛躍しましたが、技術の移り変わりは本当に興味深いです。個人的にはauの次の展開がとても気になるところです。